【社会科 地理分野】 太平洋と大西洋
毎日、専門教養である社会科を勉強している中で、
気になった事象はこのノートに書き込んでいきたいと思う。
今日の注目は、
太平洋と大西洋
である。
何を今更、小学生でも区別付きそうな地理的知識の一つ(僕の母に違いを尋ねると恐ろしい答えが返ってきた)だが、
さらに掘り下げると、多くの知識にリンクすることが出来た。
それを一問一答形式で見てみよう。
Q.太平洋は「太」、大西洋は「大」の違いは何か?
ちょうど中学生あたりが、定期テストで書き間違えそうなつまづきであろう。
そして、答えは
A.“太平”は泰平の略字であり、“大西”は西の大洋の意味である。
太平洋は、英語で“Pacific Ocean”。オーシャンはさておき、パシフィックはラテン語の原義で「平和にする」である。形容詞としては、「平和な」「穏やかな」そして「泰平な」という意味がある。
この“Pacific Ocean”と命名した人は、あの有名なポルトガルの航海者である“フェルディナンド・マゼラン(1480~1521)”である。彼が世界周航の途中、マゼラン海峡を抜け、この広大な大洋に入った時、それまでの荒れ狂っていた大西洋の様子と比べ、なんと穏やかなる海よ、と思い名付けたと言われている(諸説あり)。
一方の、大西洋は、英語で“Atlantic Ocean”。アトランティックとは、あの有名な伝説の“アトランティス大陸”のアトランティスに関係がある。
ギリシヤ神話では、巨人アトラス(Atlas)が、全知全能の神ゼウス(Zeus)にそむいた罰で、世界の西の果てで両肩で天を支えていることを命じられた。その“西の果て”がアフリカの西海岸にあるアトラス山脈。つまり、その山脈に接している海だから、アトラティックオーシャン、ヨーロッパから見れば西の大きな海であるから、大西洋ということになる。
このように深く掘り下げると、ひとつの社会科の用語は、さまざまな世界にリンクする鍵となる。当たり前と言えば、当たり前だが、こうした知識の連鎖は、実際の授業においても重要な意味をもつであろう。何しろ、母親に説明したら驚きをもって納得していた。
そういえば学生時代の頃、高校での教育実習をした時は、実習期間が5月だったため、世界史で西洋史の入口を受け持ったことがある。その時には、“アジア”と“ヨーロッパ”という言葉に着目して、その語源を授業の導入に活用した。
アジアは、フェニキア語の“Aus”=日の出る方から来ており、
ヨーロッパは、同語の“Ereb”=日の沈む方に由来を持つという。
これでは、少しばかり色気がないので、ヨーロッパの語源の俗説であるギリシア神話の王女エウロペに話をつなげ、そのギリシア神話から古代ギリシア世界へと誘導した。
このように社会科用語、つまり言葉には、その意味的現象が必ずと言っていいほど隠れている。この掘り出しが、社会科を勉強する上での、楽しみの一つといえよう。
ただ、中学生には、
「太平洋には、真ん中にハワイがあるでしょ!だから大に点を打つんだよ!」
とナンセンスに教えるのも、ひとつの手段であろう。